恐竜のプラモデルで、タミヤのパッケージを思い浮かべる人は多いのではなしでしょうか。
恐竜プラモとして、キットシリーズとしても歴史の古い、タミヤの【恐竜世界シリーズ No.7 1/35 小型恐竜セット】をレビューします。
近年バンダイがプラモサウルスシリーズのリリースなどで、ジャンルの拡大が広がっている恐竜プラモの中で、いち早くキットを出しており、古くから恐竜プラモの代名詞となっていたタミヤのシリーズです。
子供の頃、プラモデルに興味を持ちおもちゃ屋へ行って、ガンプラ・飛行機・車・戦車・バイク…と、いろんなプラモデルの中から、この「恐竜」を選ばなかった人も多いのではないでしょうか。
シリーズの始まり、本キットのリリース、そして現在とは文字通り「時代」が違っている中で、このキットの変わらない価値を見ていきたいと思います。
タミヤの恐竜プラモ
2023年に再販され、現在プラモ屋でも見かける機会は多いタミヤの1/35恐竜シリーズは、単体の恐竜シリーズと、ジオラマベースの恐竜世界シリーズがあります。
ティラノサウルスのパッケージを見てわかるように、恐竜シリーズは古い時代の恐竜イメージをもとにつくられたキットです。
製品やHPの紹介でも「※製品は発売当時(1981年)の考証に基づいています。」という注意書きがあります。
その後、1/35恐竜世界シリーズでは、「※製品は発売当時(1993年)の考証に基づいています。」となっており、ジュラシックパーク前後の、現代的な恐竜の造型となっています。
昭和生まれの人ならば、ジュラシックパーク前後で、世間の恐竜への造詣の解像度が一変したと感じる人も多いのではないでしょうか。
古い動物図鑑(恐竜図鑑でもない)ものだと、想像にまかせて「恐竜は火を噴いていた」という記述もあったとか・・・
そういった世の情勢の変化も、キットを通してみることができます。
今回レビューするのは、現代的になった1/35恐竜世界シリーズで、複数の恐竜がジオラマベースになったキットです。
キットレビュー
薄い、小ぶりのパッケージ
タミヤのパッケージと言えば、白地のボックスアートという人も多いのではないでしょうか。
パッケージおよび、組み立て説明書にヒサ クニヒコ氏による復元・監修とあります。
ヒサ クニヒコ氏は、恐竜研究科として有名な方ですが、イラストレーターとしても活躍されているとのことで、ボックスアートも同氏のものかと考えられますが、正確な情報ソースを得られませんでした。
ご存じの方がいれば、お教えください。
箱は、小さく、ガンプラの標準サイズであるHG(1/144)サイズよりも2まわり程小さく、薄っぺらい印象です。
ビニール梱包
ワールドワイドTAMIYA
箱の内側には、注意書きが多言語で書かれています。
底面は、英語、ブークモール(ノルウェー語)、イタリア語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、オランダ語、インドネシア語
側面は、ポルトガル語、ギリシャ語、フィンランド語、スウェーデン語
とのこと。(Google先生万歳)
組み立て説明書
組み立て説明書は、B5サイズほどの(正確にはB5より横が2㎜短い)モノクロ両面印刷です。
組み立て図の横に、パッケージアートとは違う、イラストと、各恐竜の概要が解説されています。
TAMIYA Tech Tips
組み立て説明書より少し横が長いB5サイズの「TAMIYA Tech Tips」という、プラモを組みたてるときのポイントを記した三つ折りのプリントも同封されています。
タミヤの工具を使って模型ライフを楽しみましょう!さすが世界のTAMIYA!ぬかりない!
ランナー
ランナーは2枚です。緑がかったグレーのような色で単色ランナーです。
パッケージに伴いランナーも小ぶりなため、小スペースで組み立てができて、目当てのパーツへすぐにアクセスできます。
組み立てはバリ処理と、合わせ目段差処理
小ぶりなキットの為、ほんの小さな金型隙間でもバリがでてしまい、小さいキットゆえに目立ってしまいます。
特に各パーツ左右の正中線でバリができるため、カンナがけや、ヤスリでほんの少しけずることで、滑らかな動物らしい表面にできます。
パーツ同士の接合部分の合いも、ほんの少しの段差が大きく見えてしまいます。
パーツ精度は抜群に良いのですが、湿気や温度変化でゆがみが出てしまうため、接着剤でしっかり圧着させる必要があります。
はみ出た接着剤や、力がかけられず出てしまうズレを、カンナがけ・ヤスリで調節することで、「プラモをつくってる感」を体験できます。
プレビュー
パッケージと同じ角度、並びでのショットです。
キットは1/35のとのことで、大きいものだと10mほどの恐竜ということになります。
ワニが現代のものと比べてもバカデカいため、縮尺感覚がバグりそうです。
ティラノサウルス(青年期)
別のキットのティラノサウルスと比べると、圧倒的に小さいですが、本キットは「青年期」との表記があり、こどもティラノサウルスとのことです。
初期のキットは地面に垂直に立った、古めかしいティラノサウルスでした。
こちらは、水平な体と、尻尾と頭部の天秤が表現された近代のティラノサウルスとなっています。
パラサウロロフス
頭部が特徴的な草食竜のパラサウロロフスです。こちらも全長10mほどの大きな恐竜です。
後頭部に伸びる部分は、昔は水中で活動する際のシュノーケルのような呼吸器官と考えられていましたが、現在では音を響かせるための器官との説が有力とのこと。
ヒプシロフォドン
キット内でもサイズが一まわり小さくなり、全長2mほどと紹介されています。イギリス、ヨーロッパでの発見の恐竜で、草食恐竜。
樹上での生態が通説だったが、イグアノドンの先祖ポジションとして、陸上生活説が一般的。
オビラプトル
学名はラテン語で「卵泥棒」「卵を没収する者」を意味する。モンゴル周辺での発見例のある恐竜。
近年では、より鳥に近いビジュアルが一般的。
ワニ
現代ものより巨大と考えらえられているもよう。
他の恐竜と同じキットになっていると、他の恐竜もワニのように現実に生活する様子が想像できます。
始祖鳥
恐竜が鳥になったという話を有力にした化石。ドイツで発見されたものが有名です。
恐竜の進化と始祖鳥に関しては、WIKIだけでもかなりの説が並んでいて、いまだに活発な進化の論争があるようです。
恐竜へのアプローチに最適な知的玩具
小ぶりで、パーツ分割も難しくなく、簡単に組み立てられるキットです。
スペースも必要なく、接着剤さえあれば、ニッパーすら必要ないかもしれません。
キットも1,000円を切る低価格で、いろんな種類の恐竜を組みたてることができ、子供に触ってもらいたいキットです。
昨今では、タカラトミーの「アニア」やなど、小ぶりの恐竜おもちゃが多数あるほか、
バンダイからは、ギミックと色プラのプラノサウルスがあるため、ライバルキットが多いです。
昔ながらのパッケージデザインも相まって、メインユーザーは筆者のような大人になってしまっているのではないでしょうか。
1キットに複数の恐竜が入っていることで、肉食/草食で分ける、生息時代で分ける、発見された場所でわける、といった恐竜知識を生かした遊びと学習が可能です。
親子でキットに触れて、バリ処理や、接着剤の使い方、塗装といったプラモの技術を教えたり、恐竜の知識を教えたりでき、優秀な知的玩具となっています。
会話のきっかけとなるキット
新幹線の開通で盛り上がる福井の恐竜博物館など、恐竜コンテンツの拡大は、プラモデルの世界でも存在します。
古いキットの為、昔作ったことのある人と思い出話ができ、世代を超えて同じプラモデルの話が可能です。
どんな時代でも、恐竜へのロマンがあったことを思い出させてくれる、触った人の思い出を閉じ込めることのできるタミヤの恐竜プラモを一度組み立ててみてください。
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