【ハセガワ VF-1Jアーマードバルキリーレビュー】ガシガシ遊べないけど、シャープなスケモ【Hasegawaの1/72VF-1Jアーマードバルキリー】

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サムネ プラモデル

Hasegawa1/72VF-1Jアーマードバルキリープラモデルレビューです。

古くからあるマクロスプラモの中でも、2000年代になり突如参入して話題になった、Hasegawa製のシリーズです。

Hasegawaと言えば、飛行機プラモのイメージの人も多いかと思います。2000年にファイター(飛行機形態)の新規金型で注目を集めて移行、バトロイド・ガウォーク形態と商品ラインナップを広げてきました。

今回のアーマードは、2021年12月発売のキットになります。

スケールモデルのメーカーの出す、キャラクタープラモの実態を見ていきます。

先に述べると、初心者には難しい、難易度の高いプラモデルです。
普段ガンプラや、Moderoid、コトブキヤといったキャラクターの可動キットを触っている人にとっては、仮組も危うく、筆者のように形にするのに精いっぱいとなる方もいるのではないかと思います。

ガシガシ動かして遊ぶのは難しい、「スケールモデル」なキットですが、その分シャープな造形がかっこいい一品です。

full open

古くからあるマクロスプラモの転換点

マクロスプラモ

マクロスのバルキリー(狭い意味、マクロスシリーズの3段変形ロボ全体を指す広義の意味ではない)プラモデルは、放映当時から歴史は長く、多くのメーカーから出ています。

最近では、バンダイが差し替え変形でマクロスプラスや、マクロス7のキットを出してたり、PLAMAXでバルキリーがリリースされ、シャープなデザインのキットも増えてきました。

こどもの頃から、旧キットを目にする機会は多く、IMAIや、ARIIなど、ガンプラじゃないメーカーの名前をよく目にしましたが、筆者の生まれる前のことの為、正確な1次情報はありません。

バンダイから旧キットの再販があったのは記憶に新しいのですが、メーカー間で金型の売買があったりと、複雑な遍歴があります。(ネットで検索したところ、有識者のページがヒットしました)

筆者の世代としては、マクロス7の時代からバンダイのキットの見覚えがあるほか、WAVEのキットも見覚えがあります。

喫緊では、MAXFACTORYからバトロイドが出ています。

上記のように、長い歴史の中で、多くのメーカーがマクロスのプラモデルを出している中で、今回取り上げるキットは、バトロイド形態がシャープになり、近代化したバルキリーのプロポーションのシリーズといえます。

キットレビュー

分厚いパッケージ

パッケージは分厚く、一昔前のMGサイズのパッケージです。つまりガンプラで言えば1/100ほどのサイズなのですが、今回のキットは1/72サイズとなり、航空機のスケールモデルの縮尺です。

ボックスアートはシリーズはじめ、ガンプラ、ボトムズ、バンダイのスターウォーズなどのボックスアートで知られるTENJINさんのイラスト。

パッケージ1
パッケージ2
イラストbyTENJIN

航空機のキットを思わせるアスペクト比のボックスで、厚みがあります。

箱サイズ比較
箱サイズ比較2

内箱は、薄いダンボール調で、頑丈な梱包です。

開封
箱

ランナーの梱包は、OPP袋で剥きやすいです。

中身
梱包

ランナー

ランナーは全18枚で、3色+クリアー+ポリキャップ。

ランナー一覧
AAランナー
AA
ABランナー
AB
ADランナー
AD
AEランナー
AE
AFランナー
AF
AGランナー
AG
AHランナー
AH
AIランナー
AI
AKランナー
AK
Bランナー
B
Dランナー
D
Fランナー
F
Gランナー
G
Jランナー
J
Kランナー
K
PCランナー
PC

ポリキャップは昔のガンプラのものとよく似ています。

ガンポッド用のストラップ紐は、一見ゴミにしか見えないため紛失注意です。

成型色での色分けが大雑把な分、細部の色分けはデカールでというのか、メーカーのスタンスのようです。
塗装の方が無難なデカールもあれば、細部の人間サイズの書き込みなど、極小サイズまであります。

ポリキャップ
ストラップ
デカール

成型色は

  • アーマード部分のグレー
  • 機体部分の白
  • 胸部、腕部の赤

となっており、それそれ航空機モデルらしい、細やかなモールドがあります。

ランナーG
ランナーW
ランナーR

組み立ての注意点

スナップキットではない

このキットはスナップキットではありません。パッケージにも接着剤の使用の案内があります。

しかし組み立てだけであれば、接着剤が必要な箇所は限定的です。

接着剤案内

ほとんどのパーツには、ダボ穴とピンがあり、接着剤が無くても形にはなります

しかし、パーツのズレが大きく出る箇所があります。

ダボ穴とピンの位置やプラ材のたわみ・・・などで、合わせ目で段差が出る箇所も多いです。
力を掛けると段差がなくなり綺麗に整う場合もあるため、ピンをカットして接着剤できれいな合いで整えるなど、素直に組みあがりにくいです。

パーツのズレ

パーツ精度というよりは、プラ材の使い方

パーツによってはアンダーゲートのパーツもあります。ゲート処理の甘さで隙間ができる箇所は少ないです。

作り手の視点で見たときに、パーツの組み合わせで不満点はなく
キットの難易度を上げているのは、プラ材の強度や変形率・摩耗率といった、可動ギミックと素材のシミュレートノウハウの少なさです。

アンダーゲート

ダボ穴とピンの渋さ/緩さ

スナップフィットを用いたスナップキットにおいて、ダボ穴とピンが緩いとパーツがバラバラになってしまい組みあがりません。
しかしこのキットは、それを意識しすぎたのか、力をかけてもしっかりパーツがはまらないほどダボ穴が狭い。あるいはピンが太い箇所が目立ちます。

  • 穴を丸ヤスリなどで広げる。
  • ピンを削る。
  • ピンをカットし、接着剤で合わせる。

といった処置が必要となる箇所が多いです。

ポリキャップの受けが緩い

プラパーツ同士の締め付けが渋い一方で、ポリキャップの受けは緩めな箇所が多いです。

特に膝の関節はポリキャップが緩く、上からの荷重が前後に逃げてしまいがちです。

緩い膝

流用金型のせい?大胆なパーツ分け

胴体は、内部に機首パーツが背骨のように入り、腰パーツにはまります。

胸部パーツを上から差し込み、両サイド内部にポリキャップでつけられた爪パーツを機首パーツにひっかけて固定するというちょっと変わった機構になっています。

胴体内部キャノピー
胴体内部 ピン
胴体内部 ピン2

ノーマルのバトロイドや、ファイターのキットの機首パーツを流用した結果なのでしょうか。

組み立てられれば抜群のプロポーションキット

組みあがると、旧キットなどでは見られない、シャープでリアルなポロポーションのキットになります。

360°ビュー

キットのサイズは、ガンプラでいうMG(1/100)サイズ程になります。

サイズ

もとより、航空機モデルのリベットなどに見られる、細やかなモールドがある為、墨入れなどの陰影を強調する表面加工ができれば、抜群に冴えるキットです。

ただしモールドは浅いため、キャラクタープラモのようにサフを吹くと埋もれてしまいます

ゲート処理、接着剤の付着に細心の注意を払い、組み立ててダイレクトの塗装がベストです。

モールド
墨入れ&デカール貼り施工後

キット内容物

付属パーツは、

  • 手首パーツ各種
  • ガンポッド
  • 肩ハッチ差し替えヒンジ×2
  • 胸部ハッチ差し替えヒンジ×2
  • 脚部ハッチ差し替え差分×4

となります。

キット内容

ハッチオープン差し替え

肩ハッチの開閉は、カバーパーツは同じものを流用し、ヒンジパーツの差し替えで再現します。

右肩ハッチ
肩ハッチヒンジ
左肩ハッチ

胸部ハッチも同様に、ヒンジパーツの差し替えで、開閉を切り替えます。

胸部ハッチ
胸部カバー・ヒンジ
ヒンジ差し替え

脚部のハッチは、開いた状態のパーツ/閉じた状態のパーツがあり、カバーごと差し替えです。

脚部ハッチ
脚部ハッチ

可動ギミックはおまけ程度

脇は水平方向まで開けられ、肘は90°まで曲がります。二の腕の軸回転は1箇所のみ。

腕パーツ

膝は、多少曲がる程度で可動域は狭いです。

ポリキャップが緩い為荷重に耐えられず、可動方向へ力が加わるとすぐに曲がってキットごと倒れます。

膝可動
膝可動2

頭部のレーザー機銃が、前後に動かせます。

頭部レーザー機銃
頭部レーザー機銃2

背中のウィングが、開閉できます。

ウィング
ウィング2

手首パーツ

手首パーツは

  • 右 ガンポッドグリップ
  • 左 平手

が組み立て図では案内があり、アニメ調の丸みを帯びた造形になっています。

その他に、通常のバルキリーからの流用ランナーにあるメカ調デザイン

  • 左 ガンポッド支え手
  • 左 平手
  • 左 握り手
  • 右 ガンポッドグリップ(メカ調)
  • 右 握り手

が、あります。組み立ては説明書には記載されていません。

手首パーツ

スケモのデカール

スケールモデルのデカールな為、非常に薄く、破れやすいです。

羽の赤いラインのものなど、プラのモールドを隠してしまうものもあるため、なるべくマークセッターで柔らかくし、密着させる必要があります。

デカール

ポージングも少しは可能

関節の強度や、パーツ強度への注意を払えば狭い可動域でもポージングは可能です。

ポーズ
ポーズ2
ミサイル

ポーズ集

ブンドド
ブンドド2
ブンドド3
ブンドド4
ブンドド5
ブンドド6
ブンドド7
ブンドド8
ブンドド9
ブンドド10
ブンドド11
ブンドド12

最高のプロポーションでワンランク上のキット

バストアップ

以上、Hasegawaの1/72VF-1Jアーマードバルキリーのキットレビューです。

Hasegawaが、飛行機をはじめとするスケールモデルのメーカーの為、ガンプラを筆頭とする、他のキャラクタープラモとは、設計思想から異なっていると感じるキットでした。

スナップフィットの形はあるものの、ダボ穴とピンの合いや、ポリキャップの保持力、人型での姿勢のための保持力などが、あまりよくないと言えてしまうキットです。

全体的に、航空機スケールモデルのように、1パーツごとのプラ材の質量が少なく、パーツ強度が出ません。
そこに可動ギミックのためのポリキャップを仕込もうにも、ポリキャップにかかる力を受けきる強度が不足し、自立も危うくなってしまいます。

中途半端な可動ギミックのせいで、関節の固定も難しく、アクロバティックなポーズを決めようとすると、高度な改造技術が必要になります。

パーツによる色分けも限定的で、航空機スケールモデルらしく、塗装とデカールでの再現が求められます。

しかしながらプロポーションは、非常にスマートでかっこよく、頭身が高く、細部のモールドがリアリティをあげていて唯一無二なシャープなバルキリープラモとなっています。

ガンプラしか触ったことのない人にとっては、何もかもか新鮮に感じられるでしょう。自分のプラモデルの腕を試す機会になることでしょう。

「かっこいいキットが手に入った」以上の喜びがあるはずです。

シャープなアーマードバルキリーのプラモデルを組んでみたいと思う人は、是非購入してみてください。

ポーズ3

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